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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2012年10月

小型家電リサイクル 認定基準案を提示 個人情報保護や有用資源回収など

中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会小型電気電子機器リサイクル制度及び使用済み製品中の有用金属の再生利用に関する小委員会(第11回)と産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会(第24回)の合同会合がこのほど開催されたが、そのなかで小型家電の再資源化事業計画の認定基準案が示された。今回の小型家電リサイクル制度は、義務型ではなく促進型の制度となることから、出来るところから取り組みを開始し、回収率を増やしながら徐々に品目・鉱種・地域を拡大することが望ましいとされている。そのなかで、市町村が制度の参加可否を判断し、その市町村から継続して使用済み小型家電を引き取り、確実にリサイクルを行う法人に対し、国が「認定事業者」として認定、認定事業者は広域回収が可能となるよう廃棄物処理法の特例が受けられるようになる。
今回示された再資源化事業計画の認定基準案では、再資源化基準としてまず収集運搬において、廃棄物処理法の遵守や回収・保管・引き渡しなど作業における効果的かつ適切な情報漏洩防止措置が取られていることとされている。次に中間処理では、収集運搬時の条件等に加え可能な範囲でガスボンベ・蛍光管・トナー・二次電池の事前取外しを行うことやフロン類の回収、有害廃棄物の適正処理などが求められている。
更に、有用資源については、一定以上の濃縮プロセスを保有し、鉄・アルミなどその他の金属類についても可能な範囲で回収することや、投入物と産物の重量が把握できることとなっている。更に回収した資源の売却先についても、鉄は電炉など、アルミは精錬業者など、基板等については回収に定める基準を満たす非鉄回収事業者に引き渡すこと、プラスチックは再資源化又は熱回収を行う事業者に引き渡すこととなっており、非鉄はCu、Au、Ag、Pd、Pt、Pb、Zn、Sb、Bi、Cd、Hg、Se、Teが回収・適正処理されていることとなる。なお、小型電気電子機器をリユースする場合は、部品も含め、適正なリユースが確保されることとなっている。
また、広域についての基準では、採算性や公平性の観点から北海道、沖縄を例外とする隣接3都道府県以上で当該地域の人口密度1000人/平方キロメートル以下となる。このほか、認定事業者の能力として周辺の生活環境保全上の支障の無い施設であり、責任の範囲が明確であること、知識・技術・経済的基盤を有することなどとなっている。


田口金属 5億円の設備投資 ギロチンや太陽光パネルなど

関東地区の有力製鋼・非鉄原料問屋である田口金属 (田口武社長、 本社=東京都新宿区中落合1丁目20番4号) では、 本年総額5億円の設備投資を行うことを明らかにした。鉄スクラップ加工処理関連では筑波工場 (茨城県常総市鴻野山1770) において老朽化していたギロチンシャーのリプレース、 80トン台貫、 放射能探知機の設置を行うとともに新築事務所と新築工場建物を建設する。 ギロチンシャー (モリタ製) は1000トンギロチンを導入、 従来の機種と比べて加工処理能力は大幅にアップする。 また、 放射能検知機の導入により鉄スクラップにおける放射能問題の発生の増加にも対応できる。
さらに工場の外観については8メートルのシートパイルを打ち、 色彩豊かなカラートタンで覆われることになる。 工場の外観の美化等は近隣住民の行事への協力などを通して地域社会にも貢献するものとなる。 これらの設備投資額は2億7000万円となる。 新規設備などは本年12月には本稼働となる見込み。  次に工場の省エネ対策設備として筑波、 古河、 古河第2の3工場において合計2億3000万円をかけて新たに太陽光パネルを設置する。
新規の太陽光パネルの稼働により470KWの発電が可能となり、 従来より稼働している丘里工場と合わせると570KWとなる。 また20年間で42円/KWの電力の買い上げが行われるなど充分な投資効果があり、 将来の安定経営にも寄与するものとなる。 また太陽光パネルは省エネ設備として環境省の利息補助資金を利用した。省エネの利息補助制度を申請する過程において、 同社は環境格付評定書を三菱UFJリサーチ&コンサルティングより取得している。 この環境格付評定書は、 三菱東京UFJ銀行とともに環境省と協議の上で策定されており、 田口金属の42年間で赤字無し、 事故無しも評価されている。
世界景気は中国景気の後退、 欧州圏の信用不安の長期化などから不況色が強まり、 国内の景況も厳しい状況が続いている。 田口金属では、 例え不況が長期化して、 鉄スクラップ炉前価格がトン1~2万円の安値となったとしてもそれらに耐えられる営業体制を確立して前進していく。 今回の設備投資もその一環となる。


リユースびん 奈良県の事業を採択 システム構築の情報・経験を集積

環境省では平成22年度より、びんリユースシステムの成立要件や推進方策の整理を行うことを目的に「我が国におけるびんリユースシステムの在り方に関する検討会」を開催している。昨年度に引き続き、検討会での検討結果と実証事業で得られた知見を活用してびんリユースシステムの構築に関する情報・経験を集積し、広く発信するため、一定の地域の範囲内で販売店、飲食店や飲料メーカー等を結んでびんリユースのサイクルを確立させるための実証事業を行う。
今年度の実証事業実施地域の公募の結果、このほど事業案1件が採択された。採択案件は奈良県で実施する「リユースびんを用いた大和茶飲料開発・販売事業」。奈良県では、リユースびん商品の安定供給とびん回収のシステムを地域の関連団体と連携して構築すため、「奈良県びんリユース推進協議会(仮)」を立ち上げ、びんリユースの推進体制を整える計画を立案した。
実証事業では、リユースびん商品を広く普及させるため、環境的意義を発信してリユース概念の周知を図るため、容器グラフィックデザインのコンペティションと展覧会を行う。リユースびんは生駒市役所、奈良県旅館・ホテル生活衛生同業組合や㈱まちづくり奈良と連携して販売する。


業界400名が栄誉讃え 紺野武郎氏が旭日小綬賞受賞で祝賀会

紺野武郎氏

紺野武郎氏(左)


日資連前会長(現相談役)・紺野武郎氏春の叙勲を祝う会が先月29日(土)、東京・高輪の「グランドプリンスホテル新高輪」で開かれた。業界関係を中心に400名余りが出席、盛大な祝賀会となった。開会にあたり発起人を代表して日資連会長の上岡克己市が挨拶、「紺野前会長の多年にわたるリサイクル事業発展に尽くされた功績が認められた。氏の今回の旭日小綬章受章は我々日資連はもとよりリサイクル業界全体にとっても大変に大きな励みとなった。」と述べた。
はじめに司会者より紺野氏の経歴が紹介され、次いで来賓を代表して平沼赳夫衆院議員、大畠章宏衆院議員、加藤公一衆院議員、経産省リサイクル推進課・渡邊厚夫課長、東京都産業労働局・中西充局長、全原連・栗原正雄理事長、吉野石膏社長・高砂製紙社長の須永永一郎氏、関東直納商組・大久保信隆理事長、渡部尚東村山市長、高杉徹常総市長ほかから祝辞が披露された。記念品と花束の贈呈を受けて紺野氏は、出席者や関係者への謝意を表すとともに、自身のこれまでのあゆみを紹介しつつ、御礼の挨拶を述べた。以下、要旨。
「経済発展とともに進む環境破壊の実態を見て、これからの時代はリサイクルが大切と、再生資源業を立ち上げた。多くの恩人や友人に支えられて今日に至った。地元の回収業界の方々には、日々の仕事を通じて業界の奥深さを教えて頂いた。昭和57年に東京都資源回収事業協同組合の理事を拝命して以来、30年間にわたり組合活動を続けてきた。この間、資源価格の暴落や再生資源の余剰など厳しい経験もしたが、そしうた中にあっても我々の業界が資源の回収とリサイクルを続けてきた汗と涙があればこそ、今日の飛躍がある。日資連は永年の取組みの結果、全国に張り巡らされた再生資源の流通ネットワークと高度なリサイクルシステムを確立してきた。その過程で構築、導入されたリサイクル化証明書や認定制度も組織拡充に大きな役割を果たした。そして今、また業界にとって大変に厳しい時代が来ているが、我々の取り扱う資源物は世界的にも大変貴重な宝である。次世代を担う若者がこの業界に集まり、市民と一緒に3R事業を推進しようと頑張っているすがたを見ると、私が業界に入った45年前とは隔世の感がある。これからも元気なうちは業界のため精いっぱい頑張っていきたい。今後もご指導、ご鞭撻をお願いしたい」。その後、氏を囲んでの歓談が続いたが、東リ協会・上田雄健会長の御礼の言葉と日資連・谷中勝典参与の祝い締め、同・山原丈之副会長の挨拶で定刻に閉会となった。


環境省 不法輸出防止徹底へ 廃家電混入の金属スクラップで対策

環境省では今月1日からの平成24年度3R推進月間のなかで、使用済家電製品の不法輸出防止のための行政指導・取締の徹底を行うと発表した。これは、今年8月に環境省の地方環境事務所の調査を行った際、港湾に隣接する保税地域において、使用済家電製品が混在した金属くずの集積物が発見された事例があったことを受けてのもの。使用済家電製品としては、家電リサイクル法対象の特定家庭用機器である家庭用エアコン・洗濯機等が含まれていた。
混在していた使用済特定家庭用機器は、「使用済家電製品の廃棄物該当性の判断について(通知)」に基づき、廃棄物と判断されるものであったことから、廃棄物処理法の規定により、同省では、当該集積物の保管場所を管理する荷役業者に対して、立入検査を実施し、当該集積物の所有者に関する情報提供を受け、また、当該集積物を輸出する際は、環境大臣の確認を受けるか、又は、使用済特定家庭用機器を取り除かなければならないことについて注意喚起を行っている。
今年3月19日付け通知では、中古利用に適さない使用済特定家庭用機器(スクラップにしたものを含み、廃棄物処理法の処理基準に則り再商品化された後のものは含まない。)を輸出する場合は、環境大臣の確認を必ず受けなければならないこととなっており、また、輸出時の廃棄物該当性判断についても、特定家庭用機器以外の使用済家電製品についても同様に、有償性如何に関わらず、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案し、廃棄物該当性を積極的に判断していくこととなっている。
廃棄物処理法の規定では、廃棄物を輸出しようとする者は、その廃棄物の輸出が一定の基準に該当するものであることについて、環境大臣の確認を受けなければならず、違反した場合は、違法な輸出が未遂であっても罰せられこととなっている。こうしたことから環境省では、金属くず輸出業者に対する水際対策強化に関する事務連絡を全国の地方環境事務所宛てに送付し、立入検査・行政指導の実施や、未確認輸出の予備・未遂罪の周知を行うこと、また、悪質なケースの刑事告訴や説明会による注意喚起を行うことを求めた。更に金属くずに混在する使用済み家電製品は、不用品回収業者に由来するものと考えられることから、地方公共団体と連携して不用品回収業者の指導・取締を徹底していく方針だ。


協栄産業 MR・ファクトリーが竣工 高品質再生PET樹脂の供給拡大

MR・ファクトリー

MR・ファクトリー


国内合成樹脂の再生加工・販売大手の協栄産業株式会社(本社・栃木県小山市城東、古澤栄一社長)ではこのほど業界関係者など多数を集め、小山第2工業団地内で進めてきた新工場「MR・ファクトリー(小山市大字萱橋1260―18)」の竣工式を盛大に執り行った。
協栄産業は、メカニカルリサイクルという手法により国内で初めて、マテリアルリサイクルによるペットボトルのBtoB(ボトルtoボトル)を飲料メーカーのサントリーとともに構築し大きな注目を集めたが、「MR・ファクトリー」は、このBtoB向け等の高品質な再生原料である「MRPET」の生産に特化した専用工場となる。
従来のマテリアルリサイクルでは、再生樹脂の異物混入や物性劣化などの問題もあり、繊維やシートなどに用途が限定されてきたのが実情だ。こうしなか、同社では、再生PET樹脂の新たな用途開拓と国内循環の拡大に向け、日本で初めて再縮合重合プラントを導入。メカニカルリサイクルによる高品質な再生原料の製造に取り組み、徹底した異物除去と固有粘度(IV値)をコントロールする独自の技術を開発することで、バージン材の代替となる高品質な再生原料「MRPET」の供給を実現させた。
MRファクトリー倉庫棟

倉庫棟


今回の新工場建設は同社の供給する「MRPET」の需要拡大を受けてのもので、敷地面積約4万㎡にグループや顧客から供給されるフレーク原料を保管する倉庫棟と再縮合重合プラントを2基導入し「MRPET」を製造する工場棟を設置。これにより、同社の再縮合重合プラントは小山第1工場のものと合わせ4基体制となり、生産能力の増強で、従来の再生樹脂では展開出来なかったBtoBのほか、自動車の性能部品向けなどへの供給を更に強化していく。
なお、竣工式には、来賓として大久保としお小山市長やPETボトルリサイクル推進協議会の麦倉誠会長のほか、環境省、経済産業省幹部などが駆け付け、ペットボトルの国内循環拡大に向けた協栄産業の取り組みに対して大きな期待を寄せる旨の祝辞を述べた。


国土交通省 汚泥バイオ発電で実証 ガス化、燃料化と合わせ全国展開も

国土交通省は来年度、下水汚泥を燃焼させて発電させるバイオマス発電技術の実証実験を開始する。13年度予算概算要求で、特別重点要求枠として実証プラント建設費など20億円を計上した。バイオマス発電では汚泥を脱水して汚泥焼却炉で燃焼、焼却炉に取り付けた発電装置で電気をつくる仕組みを計画、電力は処理場の管理用電力に利用し、管理コストの低減につなげる。都市部の下水処理場には一定量の汚泥が集まることから、このシステムが実用化することで安定的な電力供給も可能になるものと見られている。近く、プラントメーカーと実験場所が決定、13年度中に実証実験が行われる見込みとなっている。
国交省では11年度から下水汚泥を活用した発電技術の開発を行っており、これまでにメタン発酵バイオガス発電技術や固形燃料化技術のプラント実験をそれぞれ実施してきた。今回のバイオマス発電技術を合わせた3技術をパッケージ化し、全国の下水処理場で展開する計画としている。
1年間に全国で発生する下水汚泥約227万トンのうち、現状ではバイオガス発電に約12%、固形燃料に約1%が利用されている名過ぎない。国交省の試算では、下水汚泥全量を電力に転換したと仮定すると、約67万世帯の年間消費電力に相当する36億kwの電力が賄える。ただし、こまでのバイオガス発電、固形燃料化技術はそれぞれ、施設面での条件や利用施設の立地等で汎用性に課題があるとされていた。


回収車両識別制度 全業界での行動が不可欠に 古紙持ち去り車両の排除効果に期待

識別ステッカー

回収車輛識別ステッカー


全原連、日資連、東資協、東リ協など関連7団体が導入に向けて協議を進めていた「回収車両識別制度」の内容がかたまり、近く導入の運びとなった。それにさきがけてこのほど、7団体意見交換会の識別制度運営部会による7団体加盟組合員等を対象とした新制度の説明会が開かれた。識別制度は東京都と東リ協等、関連団体で検討が進められてきた持ち去り問題対策について昨年、東京都による取りまとめが公表されたことを受け、古紙業界としての取組み策を協議する過程で立案されたもの。今回の説明会には7団体加盟の回収業者、問屋業者等を中心に約150名が参加している。
新制度導入の取組みは、古紙持ち去り行為根絶を目指した一つの対策として行われるもので、持ち去り根絶宣言をした車両を識別(識別ステッカー貼付)するもの。古紙リサイクル業界全体で取り組むことにより、持ち去り車両との識別化が図られ、問屋搬入の際に識別車両による搬入を確認できるため持ち去り業者の車両を排除できる。また、業界全体の取組みを広く社会にアピールし、持ち去り行為の根絶に向けた社会全体の理解と協力を得る環境作りにつなげる効果もある。さらに、これまで各地で行われてきた持ち去り車両の取り締まり対策と連動(通報情報との照合等)させることで、従来の対策をより効果的に行えるようになる。対象エリアは関東1都6県の全域。
同制度への参加は、古紙持ち去り問題意見交換会の7団体に所属する事業者の申請により、持ち去り事案履歴等のチェックを経て識別車両として登録、識別ステッカーが発行される。また、7団体非加盟の事業者についても(加盟事業者に持ち込んでいる業者等)、加盟事業者の承認を受入れば承認した加盟事業者ほ通して同様の手順で申請、ステッカーの交付が受けられる。ステッカーは車両1台あたり車両貼付用2枚がセットで価格は1500円(予定)となっている。
申請にあたっては申し込みと同時に「古紙持ち去りに関する宣言」(宣誓書)の提出が求められ。登録された車両は「持ち去りに関与しない車両」として、ホームページ等で公表される。なお、登録後についても登録車両に違反がないかなど随時、「不適格車両の抽出・審査」が行われ、違反が発覚した際には登録は抹消され、同時に自治体等に通知される。


モリタホールディングス 介護向け等で新商品 腰部サポートウェア「ラクニエ」を開発

ラクニエ

ラクニエ


消防車両や防災、スクラップ・廃棄物処理機器などの事業を展開している株式会社モリタホールディングス(中島正博社長)では、新たな事業分野へ進出するために開発した新商品発表会をこのほど開催した。同社が新たに開発した新商品は、腰部に負担のかかる作業をサポートするためのウェア「rakunie ラクニエ」で10月より販売を開始する。希望小売価格は2万4150円(税込)。「ラクニエ」は、慶応義塾大学の山崎信寿教授と医療用品メーカーのダイヤ工業株式会社(松尾正男社長)との産学連携により共同で開発されたもので、介護事業の現場等で実証試験を繰り返し、今回の商品化までこぎつけた。
厚生労働省の調査によれば、労働者の抱える持病として2番目に多いとされるのが腰痛であり、工場労働者をはじめ、農業、運輸業、介護職、救急隊員など腰への負担が多い職種に従事する人口は1800万人にのぼるとも推計される。また、消防活動の1つである救急搬送業務が約10年で1・4倍に増加している実態を踏まえた「救急隊員の活動時における身体調査」において、最も負担を感じる部位が腰部であり、同社では腰部サポートの技術構築を目的として今回の新商品の開発に着手したとしている。
腰痛の要因の多くは筋肉の疲労とされているが、「ラクニエ」は筋肉の負担の大きい前屈姿勢の際にのみ腰部サポートを行う。従来のサポート方法では腰部を常時固定してしまうため、動きづらく筋力の低下にもつながる恐れがあったが、「ラクニエ」は前屈姿勢時のみのサポートとなることから、他の動作の負担にならず、筋力低下にもつながらないのが特徴だ。実証試験では非着用時と比較して10%超の筋活動量の低下などの効果が確認されている。
中島社長は「従来の消防や防災事業は当社の大きな柱となっているが、先ごろの報道でもあったように日本の人口1億2800万人のうち3000万人が65歳以上の高齢者となり、2050年には高齢者の人口比率が41%にも達するとの試算がある。既に日本は成熟市場であり、新しいことに取り組んでいかなければならないと感じていた。そうしたなかで、以前より介護用入浴車両などを事業部門で取り扱っており、今後拡大が見込まれる介護分野において、負担の大きい介護者の一助になればとの思いで新商品の開発を行った。今後もあらゆる分野で企業理念に基づいた事業に積極的に取り組んでいきたい」とコメントした。モリタホールディングスでは、平成24年3月期決算は売上高636億9400万円、営業利益50億7300万円など、過去最高益を更新。こうしたなかで、今回の「ラクニエ」は、既に同社が防災事業等を通じて繋がりを有する病院や社会福祉施設などを中心とした販売を行っていき、今期の販売量は3万個、5年後10万個を目標に掲げている。


古紙持ち去り対策 新制度始動に理解求め 回収車両識別制度で説明会開催

回収車両識別制度説明会

回収車両識別制度説明会


全国製紙原料組合連合会、日資連、東リ協会など古紙持ち去り問題で対応を協議する7団体が導入に向けて準備を進めていた「回収車両識別制度」の内容がほぼかたまった。このほど、7団体意見交換会の識別制度運営部会が中心となって、7団体加盟組合員等を対象とした新制度の説明会が開かれた。この識別制度は、東京都の主導で検討が進められてきた持ち去り問題対策で昨年、取りまとめが公表されたことを受け、古紙業界に求められる実効性の高い対策を協議する中で立案・検討されてきたもの。
7団体を代表して東リ協会・上田雄健会長は、「持ち去り問題については東京都を通じて各方面へ働きかけた結果、警察・行政はじめ関係各方面のご理解を頂いている。そのうえで、当事者の我々業界が取り組むべき方策として検討してきたもの。7団体の皆様のご理解とご協力を頂きたい(要旨)」と挨拶した。
東リ協会事務局・後藤氏より新制度の趣旨と期待される効果、導入に当たっての手続き等について詳細な説明が行われた。また、質疑応答では雇上業者車両や産業古紙扱い車両等への対応や非加盟業者承認の考え方など、制度設計上の課題にまで踏み込む質問も挙がったが、事態の喫緊性からも「ともあれ制度をスタートさせることが重要」と協力が求められた。


産廃特措法 期間内での完了目指し 新たな事業計画へ基本方針示す

「特定産業廃棄物に起因する支障の除去等を推進するための基本的な方針」に関する検討会が経産省で今月10日、開かれた。平成10年6月16日以前に行われた不法投棄等で、行為者に代わって都道府県が廃棄物の撤去や原状回復を行う際に国が支援措置を講じる特措法の期限が今年度末となるなか、当初計画時の見込み量以上の廃棄物が確認されたなどの理由から期限内での処理完了が困難となった事業や、事案そのものの発覚が遅れたことで現行特措法の対象事業とならなかった例が多数発生していることから、国による支援の延長が求められ、特措法改正法がさきごろ成立、平成35年3月31日までの期間延長が決定した。
改正法では、支障除去事業を行う都道府県は新たな期限内での完了を見越した事業計画を来年3月31日までに環境大臣に協議しなければならないとされ、それに先だって環境大臣は期限内に全事案の支障除去を完了させるため、それぞれの事業を計画的かつ着実に進めるための基本方針を策定、公表することとなっている。8月の特措法改正から年度内での新たな事業計画の決定と、極めてタイトなスケジュールとなっている。
基本方針案で示された支障除去等の内容に関する事項では、都道府県が実施計画を策定するにあたっては対象となる廃棄物量や種類、支障の状況と除去の必要といった内容と併せ、事業で達成すべき目標や不法投棄行為者等②行った措置の内容、再発防止策、第3者委員会による技術面での検討結果と支障除去の具体的な方法、費用等を記載して明確化するよう求めている。
委員からは基本方針で国が一定の方向性を示すこととは別に、都道府県等が地域の状況に即した柔軟な対応ができるような配慮が必要とした意見や、期間延長の前提として過去10年間の成果と問題点を整理し、今後の展開に活かしていくことが重要とする意見が聞かれた。また、新たな期限内での完全な支障除去の完了を目指すため、更なる発生事案の見落とし等がないよう全都道府県を対象に再度、周知を徹底すべきとする意見や、万が一、計画協議期限後の来年4月以降に新たな対象事案が発覚した際の対応等についても検討すべきとした意見が聞かれた。


災害廃棄物 8月完了率は25% 広域処理で124万トンが要調整

環境省がまとめた災害廃棄物の処理状況によると、3県沿岸市町村の災害廃棄物1802万トンのうち、8月末時点で処理が完了した量は約442万トンとなった。7月末からは約35 万トン増加しているが、それでも全体に占める処理完了率は25%に留まっている。一部市町村では中間目標に向けて着実に処理が進んでいる一方で、全体の処理・処分の状況は岩手・宮城両県ともに十分とは言えない状況にある。
特に、宮城県では県への委託分で気仙沼ブロックでの破砕・選別施設、仮設焼却炉が未だ設置中で処理に着手できていないほか、その他のブロックでも本格稼働していない仮設焼却炉があるなど、処理体制の整備が急務となっている。また、岩手県の不燃混合物、津波堆積物は復興資材として再生利用することとされているのの、実際にはほとんど処理が進んでいない状況で、県内での利用先の確保が急務となっている。可燃物・木くずについても広域処理の具体化に向け、県と受入側自治体が現地での実務レベルの打ち合わせを行っている段階にある。
一方、広域処理の状況を見ると、これまでに被災自治体からの災害廃棄物の受入れを行っている、あるいは受入量が決定している事業は1都9県で36件、広域処理による処理済量は8月末現在で約9万3000トンとなった。なお、8月中に新たに本格受入を開始した事業が4件あったほか、受入開始の公表が7件、試験処理の実施が2件)、基本協定等締結が2件あった。8月7日の「処理工程表」の公表以降、5件(約7万3000トン)の事業で広域処理が具体化した。8月末時点での広域処理調整済量は約44万トンとなり、広域処理必要量168万トンのうち要調整量は124万トンとなっている。