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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2012年1月

国土交通省 再生可能エネルギー創出など 都市エネルギー施策で新事業

地球温暖化への対応や災害時の都市部の電力ひっ迫に対応するため、国土交通省は来年度、都市の未利用エネルギーの利用の拡充や、再生可能エネルギー創出に向けた新たな事業を展開する。1億8000万円の予算措置を講じて行う「年における地産地消型再生可能エネルギー活用の推進」では、災害時に必要なエネルギーを自立して供給できる体制を構築するため、都市の公園や街路等から発生する未利用の植物廃材を再生可能エネルギーとして活用するための実証事業等を行うこととしている。
植物廃材に適した自家発電システムの開発を支援するため、特に発生量が少量で種類・性状が多岐にわたる講演由来の植物廃材の特性を踏まえた、エネルギー化効率の高い発電プラント開発に向けた実証実験を行うほか、災害時の廃材からつくる備蓄燃料を需要地にスムーズに供給するための運用計画の策定等を併せて進める。植物廃材の収集・運搬やエネルギー転換、副産物の処理といった一連のプロセスでの金銭的収支、CO2収支が成立する方策を検討し、技術的指針を策定する。
また、「先導的都市環境形成促進事業の拡充」では、都市部での太陽光や工場発熱等未利用エネルギーを地区・街区単位で面的に活用するシステムの構築を図ることとしている。自治体が策定する「低炭素まちづくり計画(仮)」の区域内で、行政や民間事業者が取り組む自然エネルギー、未利用エネルギーを地区や街区単位で面的に活用する先導的なシステムを構築するため、計画の策定やコーディネート、実証実験、モデル事業(エネルギー供給ネットワークや関連施設の整備)等を行うこととし、そのための制度を新たに創設する。


リユースびん 新宿地サイダーを展開 デポジットは地域通貨に交換

環境省の平成23年度「びんリユースシステム構築に向けた実証事業」として採択されたリユースびん入り地サイダー販売モデル事業が今月からスタートしている。新宿区内限定で販売される『十万馬力新宿サイダー』は生活クラブ、パルシステムなど5つの生協団体で構成する「びん再使用ネットワーク」がリユースびんの普及活動の一環として環境省からの助成を受け、新宿区商店会連合会で進める地サイダー開発を後押しし、誕生したもの。
新宿区内100店舗で販売する商品で、内容量220ミリリットル、定価150円(税込)、うち50円相当がびん容器の預かり金となる。購入者が空きびんを返却すると50馬力のアトム通貨がもらえる。アトム通貨は従来から新宿区商店会連合会で取り組んできた地域通貨の取組みで、環境保全活動の取り組みなどに対して付与される仕組み。加盟店での商品の購入やサービスの利用などに使用できる。
環境省で進められているびんリユースシステム構築に向けた検討では、リユースびん事業化の可能性として、特定地域で用途を限定したクローズドのシステムに高いポテンシャルが認められたことから、今回の取組みには新たしいリユースシステム構築を模索するうえでも、貴重な実証結果が得られるものと期待されている。


放射性物質汚染廃棄物 処理事業者の対応など 特措法施行で関係者に周知

「放射性物質による環境汚染対処特措法」が今月1日より施行されているが、さきに決定した法施行令、環境省例等の内容等について処理業界等関係業界への周知が進められている。政省令の決定から施行までの期間が短かいこともあり処理現場では混乱も懸念されたことから、さきごろ法に基づく処理ガイドラインが公表された。昨年末には処理業界に、施行後の事業者等の対応等の詳細な説明が行われている。
▽報告、指定申請

法の施行後、施設管理者は毎月1回以上の頻度で廃棄物の検査を行い、環境大臣(具体的には地方の環境管理事務所)に報告することとし、その結果8000Bq/Kgを超過するものについて環境大臣が指定廃棄物の指定を行う。施設管理者、占有者が所有する廃棄物ですでに8000Bq/Kg超のものは占有者が環境大臣(地方環境管理事務所)に申請し、指定廃棄物の指定を受ける。
▽施設管理者、占有者による保管

指定廃棄物は国の責任で処理されるが施設管理者、占有者は国に引き渡すまでは指定廃棄物保管基準に従った保管を行う。
▽指定廃棄物の処理体制

環境省は関係都道府県、排出者等と連携し、23年度内に都道府県毎、廃棄物の種類毎に処理方針を具体化し、処理施設の確保を進めるなど、処理体制を順次構築する。
▽モニタリング

環境省は指定廃棄物の処分を行う施設付近の環境モニタリング、最終処分場からの浸出水のモニタリングを長期間継続的に実施する。
なお、廃棄物処理法では市町村が一般廃棄物の処理を行い、都道府県は市町村等への必要な技術的助言と産業廃棄物の適正処理体制を確保するとされている。特に市町村では地域の自然的社会的条件に応じた適切な処理体制が構築されていることから、国が各地で指定廃棄物の処理を行うにあたり、地域の特性に応じた適切かつ円滑な処理が進められるよう都道府県、市町村等に必要な協力を求めていくとしている。


面単位の取り組みに可能性 静脈物流の効率化で検討会

東京産業廃棄物協会、東京都リサイクル事業協会、東京廃棄物事業協組合など処理・リサイクル業界の各団体とビルメンテナンス業界、学識経験者等で構成される『静脈物流効率化・高度化のための検討会』がさきごろ、第1回検討会を開催した。オフィスビル等からの事業系一般廃棄物、産業廃棄物を中心とする事業系ごみ(建設系廃棄物を除く)の処理に関して、物流に伴う環境負荷・費用を最小化しつつ資源を最大限有効に活用できる最適な静脈物流のあり方を検討するため、関係業界が連携して協議を進めている。CO2排出削減や資源化の促進を通じた社会貢献と併せ、物流に関する社会的費用を削減していくねらいがある。
第1回の検討会では、複合オフィスビルや中小の事業所、個人商店が集まる商店街など、多様な発生源別に静脈物流の現状をまとめ、さらに特定の地域、事例をあげて現状での問題点を整理した。また、効率的な回収物流のあり方をさぐるため、現状の物流システムについて回収の効率化や資源化・静脈物流の共同化といった事業モデルへの変更を想定、実施効果について検討を行っている。
ビル単位、商店街単位、街区単位など「面」単位での取組みに低炭素化や資源化拡大の可能性が伺われることや、処理業者間での過度な競争が不適正処理につながる懸念があること、事業者の状況により排出時分別など取組みに差異があること、法規制や手続きがコスト拡大につながることなどの課題が指摘された。


古紙 持ち去り排除の取り組み 正規車両との識別制度などを検討

古紙の持ち去り被害が全国で問題となるなか、集直の関係業界団体で持ち去り問題への対策を検討している古紙持ち去り問題意見交換会では、回収・問屋業界の新たな取り組みとして、正規業者と持ち去り業者を識別する、「古紙持ち去り根絶宣言車識別制度(仮称)」案が検討されている。
持ち去り行為根絶のためには、①持ち去り古紙を古紙問屋に持ち込ませない、②衆人環境で持ち去り行為を見張る、③パトロールや市民からの通報情報と持ち去り業者の情報を照合する、などが実効性があると考えられることから、持ち去り根絶車両を登録し、正規業者との区別を明確化しようというもの。持ち去り根絶宣言をしたものが運転する車両に「宣言車」ステッカー等が掲示されることにより、受け入れ問屋は信頼して取引関係に入ることができるようになる。
制度の運用としては、回収業者が宣言書(登録申請書)に記入し、持ち去り識別精度委員会(仮称)に送付。内容をチェックの上でステッカー等が発行される。自治体の氏名公表やパトロール情報、通報等から「宣言車」の持ち去りが疑われる場合には、事実確認の上、本人に欠格車であることを通知し、対象エリアの問屋、自治体、警察に通知されるというもの。制度は関東一都六県に静岡県の一部を加えたエリアでの古紙回収車両からスタートし、順次、産廃・事業系一廃業者やその他車両に対象を広げることでの運用が検討されている。


産業廃棄物 不法投棄216件が新たに判明 5000トン超の大規模事案も

環境省のまとめによると、平成22年度に新たに判明した不法投棄事案は全国で216件、不法投棄量は合計で約6万20000トンとなった。前年度(279件・5万7000トン)からは件数で63件の減少となったが、不法投棄量は約5000トンの増加となっている。また、22年度に新たに判明した不適正処理事案は191件(前年度187件、不適正処理量は6万4000トン(同37万9000トン)で、こちらは件数では4件の増加となったが重量ベースでは減少している。22年度末時点での不法投棄等残存件数は合計2610件で、前年度末から19件増加しており、残存量は合計で1781万7000トン、同51万2000トンの増加となっている。
廃棄物処理法の改正に伴う各種規制強化や不法投棄等防止に関する様々な施策により、産業廃棄物の不法投棄が新たに判明する事案は年々減少する傾向にある。これら新規判明事案で生活環境の保全等に支障があると報告されたものについては都道府県等による支障の除去、周辺環境モニタリング、状況確認のための立入検査のいずれかの措置が講じられている。しかし、こうした各種取り組みにも関わらず新たに5000トン以上の大規模な不法投棄事案が1件、不適正処理事案が1件判明しており、5000トン未満のものを含めると、全体ではいまだにともに200件前後の不法投棄、不適正処理が新たに判明している。
残存事案2610件のうち、支障等があると報告されている160件については支障の状況により除去や周辺モニタリング、立入検査等の措置が講じられており、そのうち現に支障が生じていると報告されているものが18件、支障のおそれがあり防止措置を講じると報告されているものが25件あるほか、支障等調査中と報告された事案が51件報告されている。今後の経済情勢により不法投棄等の増加が懸念されることから、国は引き続き監視活動の強化や現地調査、都道府県等が行う行為者等の責任追及支援等の取組を進め、大規模事案を中心に新規に判明する事案を減少させるよう、早期発見と早期対応による拡大防止の取組を一層進めることとしている。なお、平成16年6月に、5000トン超の不法投棄をゼロにすることを目指した「不法投棄撲滅アクションプラン」が策定されている。
支障があるとされる残存事案の支障除去等措置では、平成10年6月16日以前に発生した事案については特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(産廃特措法)に基づき、都道府県等が行う代執行に国から支援が行われており、これまでに13事案で法に基づく大臣同意がなされている。一方、平成10年6月17日以降に発生した事案については産業廃棄物適正処理推進基金による支援が行われており、22年度末までに78事案への支援が行われている。


放射性物質汚染対処措置法 保管・処理基準示し 「廃棄物関係ガイドライン」を公表

さきごろ施行された「放射性物質汚染対処特措法」に基づき環境省はこのほど、事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の保管や処理の基準を定めた環境省令などを具体的に説明する「廃棄物関係ガイドライン」を策定、公表した。廃棄物の排出者や市町村等を含む廃棄物処理を行う者を対象に、特措法の内容を具体的にわかりやすく説明するためのもので、特定一般廃棄物・特定産業廃棄物関係など法の施行に最低限必要な事項のみを先行的にまとめている。特定廃棄物に関する事項など初版で記載されていない事項についても、今後追加される。現時点ではガイドラインで示された方法で廃棄物を処理することが妥当とされているが、知見の蓄積により随時改訂されるもよう。
ガイドラインは第一部・汚染状況調査方法ガイドライン─廃棄物の汚染状況の調査方法、第二部・特定一般廃棄物・特定産業廃棄物関係ガイドライン─特定一般廃棄物・特定産業廃棄物の収集運搬、中間処理、埋立処分方法、 第三部・指定廃棄物関係ガイドライン─指定廃棄物の現場保管、収集運搬方法、第四部・除染廃棄物関係ガイドライン─除染廃棄物の現場保管方法、第五部・放射能濃度等測定方法ガイドライン─排ガス、排水中の事故由来放射性物質の濃度等の測定方法─で構成されている。


ペットボトル 拡がり見せるBtoB 国際商品としての認識が重要

我が国のペットボトルのリサイクル市場は、ここにきて新たな展開を見せている。キリンビバレッジが一部ボトル原料に協栄産業(栃木県小山市、古澤栄一社長)のメカニカルリサイクル原料の使用を発表したが、それに先んじて昨年5月、サントリーが同じく協栄産業と共同でメカニカルリサイクルペット原料を50%用いたボトルtoボトルをスタート。また、味の素ゼネラルフーヅがケミカルリサイクルによる再生樹脂を活用したボトルtoボトルに乗り出すなど、国内飲料業界でのBtoBへの取り組みが活発化し始めている。
こうした背景の1つとして、飲料メーカーによる環境負荷低減の取り組みとして進めてきた軽量化が限界を迎えつつあり、新たな環境負荷低減策としてBtoBに乗り出していることがある。これに加えて、これまで再生PET樹脂の多くが品質の問題から食品用トレーなどに用いられていたところに、メカニカルリサイクルという高品質な原料を供給することが出来るようになったことも、飲料メーカーがBtoBを進める1つの大きな要因になったと言えよう。
ただ、飲料メーカーの姿勢には気がかりな点も存在する。昨年末、飲料業界ではBtoB拡大に向けて、資源の海外流出防止を進める方針を示したが、再生原料に対しての適正な評価については疑問が残る。既に廃ペットボトルは、中国を中心に国際商品として一定の経済原則に基づいて流通しており、これを無視する格好で流通を規制することは、却って循環型社会構築の流れを阻害することにもなりかねない。
BtoBによって国内需要が拡大することは、望ましいことである。しかし、既にリサイクルが国内だけで成り立たなくなっているということは、ペットボトルが中国に流出するようになった経緯から見ても明らかである。ペットボトルの経済性を伴う資源循環を進めるために、海外を含めた適正な枠組みを構築していくことが重要なことではないだろうか。


温室効果ガス 72%が目標超過達成 2010年度の試行排出量取引スキーム

温室効果ガスの排出削減に向け、企業等が削減目標を設定し、他社の排出枠や国内クレジット等の取引を活用しつつ、目標達成を行う試行排出量取引スキームの2010年度事業結果がとりまとめられている。この試みでは、参加企業等が自主的に目標(総量目標または原単位目標を選択)を設定し、目標達成のため、自らの削減努力に加え、①他の企業の削減目標の超過達成分(排出枠)、②国内クレジット、③京都クレジット──を活用して削減目標を達成する仕組みとなっている。スキームでは、電力・鉄鋼会社等目標を設定して参加する「目標設定参加者」以外に、商社等、専ら排出枠の取引鑿を行う「取引参加者」も参加している。
2010年度の結果によると、目標設定してスキームに参加した152者のうち、実排出ベースで109者が目標を超過達成しており、43者が削減不足となった。削減不足となった43者のうち29者については不足分の借入れ(ボローイング)、試行排出枠や京都クレジット・国内クレジットの購入・焼却を活用した結果、年度目標を達成している。ただし、その他の14者と2010年度の超過達成分が過去のボローイング量に満たなかった2者(いずれも2010ん度が目標達成最終年度)については目標未達成となっている。
目標指標別では、総量目標設定者72者のうち55者(76%)、原単位目標設定者80者のうち54者(67%)が目標を達成している。また、全152者のうち50者が第三者検証を受けており、自主行動計画参加企業では42者が検証を受けた。実排出ベースで目標を達成した109者のうち、10者が前年度までの排出枠ボローイング分(253万t─C02)を償却しており、105者については余剰排出枠(575万t─C02)をバンキングしている。また、実排出ベースで削減不足となった43者のうち、5者が昨年度までのバンキング排出枠(365万t─C02)を活用、10者が外部クレジットを活用、21者がボローイングを活用している。


小型家電リサイクル 16の特定品目を提示 雑品スクラップの有害性分析等の規制も

中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会小型電気電子機器リサイクル制度及び使用済み製品中の有用金属の再生利用に関する第9回の小委員会が昨年末開催されたが、そのなかで、小型電気電子機器リサイクル制度の在り方についての案と、制度の対象品目における特定対象品目のリストが示された。
小型電気電子機器リサイクル制度の対象品目については、資源確保と有害物質管理、廃棄物減量化を含む、循環型社会形成推進という制度の目的を踏まえると、出来る限り多くの品目を対象としてリサイクルする方が望ましいとしており、自治体による回収を前提として、一般家庭で通常使用されるような電気電子機器のうち、家電リサイクル法対象品目以外のものについて幅広く対象とすべきとされた。ただ、その一方で、資源性と分別のしやすさから特にリサイクルするべき高品位のものを特定し、制度のルートに出来る限り乗せることも重要とされている。
そこで、市町村と認定事業者の契約において、資源性の高さなどから引き渡しの額や条件が有利となるような品目を「特定対象品目」として提示することで、市町村と認定事業者の契約時の参考情報として活用することが期待される。今回、提示された「特定対象品目」は携帯電話やデジタルカメラ、ゲーム機などの16品目となっている。なお、すでに資源有効利用促進法に基づくリサイクルルートの存在するパソコン等と、自主的なリサイクルルートの存在する携帯電話については、既存のリサイクルルートでの回収を基本としつつ、自治体による回収も可能であることから、法制度の無い携帯電話は対象品目とし、法制度の存在するパソコン等についても対象品目とするか検討する必要があるとした。また、今回示された「特定対象品目」以外の品目についても、出来る限り埋立処分を避け、リサイクルを推進することが望ましいとし、市町村で鉄やアルミニウムを中心とする金属回収を行うか、契約に基づき認定事業者に引き渡すことが考えられるとした。
なお、制度上の課題として、市町村の参加促進と回収量増加の取り組みや、海外における不適正処理の防止、違法な不用品回収業者対策などが指摘されたが、このうち、海外での不適正処理防止については、偽装リユースを防ぐための個別品目に関するリユースガイドライン整備や、雑品スクラップ中の鉛含有量分析対象部位のサンプリング方法を初めとする有害特性分析手法等を定め、規制対象範囲の明確化を行う必要性を示した。違法な不用品回収業者対策では、業者が無料や極めて低廉な価格で引き取る場合も含め、使用済み小型電気電子機器等について廃棄物該当性を明確化し、廃棄物処理法による取り締まりを強化する必要があるとしている。


静脈産業海外展開促進フォーラム 第一回分科会を開催 ごみ処理海外展開各社が講演

環境省では昨年8月、日系静脈産業メジャーの育成と海外展開を促進するためのプラットフォームとなる「静脈産業海外展開促進フォーラム」を設立したが、昨年末、同フォーラムの第1回分科会を開催した。分科会では、テーマを「アジアにおける海外展開の事例に学ぶ」とし、既に中国などを中心に事業展開を行っている大手企業などからの講演が行われた。
講演のなかで、川崎重工業は日中合弁でごみ・汚泥処理技術とセメント製造技術を融合した革新的なシステムを中国で構築しているが、中国での事業化のポイントを「同じものを同じ人間が同じ場所で同じ作業をすることで品質を確保できるが、現状では多品種少量のものは合弁では難しい」などとした。また、ごみ中継施設などを手掛ける新明工業からは、中国の生活水準の向上でごみの質も変わってきており、既存製品である生ごみ処理事業や産業廃棄物処理市場への拡大を図る方針であることなどが示された。
なお、同フォーラム事務局を務める日本環境衛生センターからは、今年3月に上海で開催される「上海新国際博覧センター」への廃棄物処理・リサイクル技術のジャパンブース出展に関する募集などの説明が行われた。


使用済み家電製品 海外流出670万台 リユース801万台、スクラップは476万台

産構審の電気電子機器リサイクルWGと中環審の家電リサイクル制度評価検討小委員会の第20回合同会合が昨年開催されたが、そのなかで、平成22年度の使用済み家電製品4品目(テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機)のフロー推計結果がまとめられた。同フロー推計は、家電リサイクル法以外のルートにおける処理の状況について、把握に努める必要性が指摘されたことによるもので、フロー精緻化のため、海外へのリユース販売に関する実態調査が行われた。
それによれば、平成22年度の家庭・事業所からの排出台数3848万台に対し、製造事業者による再商品化が行われた台数が2579万台になったのに対し、リユース向け販売が801万台、国内でスクラップ化されたものが79万台、海外へのスクラップ輸出が397万台、地方公共団体による一般廃棄物としての処理が5万9000台となった。(詳細は別図を参照)22年度は家電エコポイントの対象年度であったことから、使用済み家電4品目の再商品化台数は増加したが、家電リサイクル法以外のルートへの処理も増加を見せた。
フローによれば、一時、使用済み家電の横流しで問題視された小売業者に引き取られたものについて、22年度では約98%が製造業者により再商品化がされている。一方、リユース向け販売では、総排出台数の約2割の割合となっており、CtoCリユースが305万台、国内リユース223万台、中古輸出が273万台となった。スクラップについては、国内外で476万台となっているが、多くが海外輸出となっており、特に不用品回収業者からヤード業者を経由して輸出される台数が370万台とその大半を占めた。スクラップと中古を合わせた海外流出は670万台にのぼっている。
ただ、今回の推計についても、店舗を持たず国内販売を行わないような事業者への排出についてもリユースショップへの持ち込みと回答されているケースが考えられることや、貿易統計には少額貨物が計上されない可能性があることから、国内リユースは推計より少なく、海外輸出は多くなる可能性があるとした。